
小山のきそば号では、たまに突然「ゲリラ運行」や「ゲリラ販売」を行うことがあります。
しかも通常より価格を下げて販売することもあります。
もしかすると「そんなに安く売れるなら、普段は相当利益があるんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。
でも実際は、まったく逆です。
小山のきそば号が突然割引販売をするのは、キャンペーンでもサービス企画でもありません。
売れ残ってしまった在庫を、赤字になってでも廃棄せずに販売するためです。
今回は、その理由を少しだけ書いてみようと思います。
キッチンカーは「何食売れるか」を毎回予想する商売
小山のきそば号を運営するようになって4年になります。
その中で一番難しいと感じているのが、仕入れです。
イベントの規模、内容、開催場所、来場者数、曜日、天気、気温。
同じイベントでも、条件が少し変わるだけで売れる数は大きく変わります。
そのすべてを考えながら「何食用意するか」を決めます。
少なく仕入れて完売すれば、一見すると大成功に見えますが、その後もお客様が来ていたのであれば、本来売れたはずの商品を売れなかったことになります。
反対に、多めに仕入れて予想より売れなければ、そのまま大量の在庫が残ります。
つまり、多すぎても少なすぎてもダメなんです。
毎回ちょうどいい数を予測しなければならないのですが、4年間やっていても、これが本当に難しいのです。
常設店なら「明日売る」ができる
ここが、一般的な飲食店とキッチンカーの大きな違いです。
常設店であれば、在庫を翌日の営業へ回せる商品もあります。
しかし、小山のきそば号はイベント出店が中心で、営業は主に土日です。
イベントで在庫が残ったとしても、次の通常出店は早くて翌週末になります。
だから「余ったから明日また売ればいい」という商売ではありません。
もちろん、冷凍して次の営業で販売する方法もあると思います。
でも小山のきそば号では、それをしません。
「品質を守るため」です。
その日に販売するために用意したものは、できる限りそのタイミングでお客様に届けたい。
だから大量に在庫が残った時は、急きょ翌日に営業したり、販売場所を用意したりして売り切る必要があります。
それが、小山のきそば号の「ゲリラ運行」や「ゲリラ販売」です。
割引販売は「儲かるセール」ではありません
先日のイベントでは、4年間営業してきた中でも過去一番と言っていいほど、大量にそばが残ってしまいました。
そこで翌日、急きょゲリラ運行を行い、価格も下げて販売しました。
それでも100食以上残りました。
この時点で考えているのは、利益ではありません。
どうすれば廃棄せずに済むか。
それだけです。
夜になって、さらに在庫販売会を行いました。
すると本当にありがたいことに、たくさんの方が買いに来てくださり、15分ほどで完売しました。
本当に助かりました。
割引価格を見れば「この価格でも売れるということは、普段はかなり利益があるのでは?」と、思うかもしれません。
でもゲリラ販売の価格は、通常営業として成立する価格ではありません。
すでに仕入れてしまった商品を廃棄すれば、その仕入れ代はそのまま損失になります。
だったら赤字でも販売した方がいい。 そして何より、食べられるものを捨てたくない。
そのための緊急販売です。
決して「普段はものすごく儲かっているから安くできる」という話ではありません。

実際には、見えない経費がどんどん増えている
小山のきそば号を始めた4年前と比べても、経営環境はかなり変わりました。
人件費や仕入れ価格も上がっています。
プラ容器などは、当時と比べて2倍以上になったものもあります。
さらに、表からは見えにくい経費もあります。
その一つが電子決済です。
小山のきそば号では、比較的早い段階から電子決済を導入しました。
便利ですし、お客様にとっても使いやすい。
僕もそう思って導入しました。
しかし、契約した当時から少しずつ負担が増え、決済のたびに発生する手数料も無視できない金額になってきました。
一杯数百円の商品を販売する小山のきそば号にとって、その数%は決して小さな金額ではありません。
途中解約だったため違約金も発生しました。
それでも、この先ずっと手数料を払い続けるよりいいと判断し、現在はキャッシュオンリーに戻しています。
不便になったと感じる方もいると思いますが、それでも僕は価格を上げる前に削れる経費があるなら、まずそこから見直したいと思っています。
値上げは最後の手段にしたい
もちろん、一番簡単なのは値上げです。
経営の事だけを考えれば、それが一番分かりやすい方法です。
でも小山のきそば号は、小山駅で長年愛された立ち食いそばを継承しています。
僕はそこに意味があると思っています。
早い、うまい、安い。
気軽に食べられる庶民の味。
これがB級グルメとしての「小山のきそば」の良さだと思っています。
だから、できる限り価格は上げたくないのです。
もちろん、経営が成り立たなくなれば考えなければならない時は来ます。
それでも値上げは最後の手段。
その前にできることをやる!
小山のきそば号は、そんな考えで営業しています。
ゲリラ販売を成立させてくれるのは地元の皆さん
とはいえ、僕たちだけで何とかできるわけではありません。
大量に在庫が残った時、
「そば余ってます!」
と突然発信しても、誰も来てくれなければどうにもなりません。
それでも小山のきそば号では、毎回たくさんの方が駆けつけてくれます。
今回も100食以上残ったそばを、最後は15分ほどで完売することができました。
本当にありがたいことです。
皆さんが協力してくれることで、食べられるものを廃棄せずに済む。
余ってしまった在庫がお客様の食卓へ渡り、売上として戻ってくる。
そして、その積み重ねが小山のきそば号の営業を支えてくれています。
だから小山のきそば号のゲリラ運行やゲリラ販売は、特売イベントではありません。
仕入れ予測が外れてしまった時の緊急運行です。
今日もたくさんの方にフードロス削減へ協力していただきました。
皆さんのおかげで、今回も無駄にすることなく最後まで循環させることができました。
そして、こうして支えていただいているからこそ、小山のきそば号は今もできる限り価格を据え置きながら営業を続けることができています。
いつも小山のきそば号を支えてくださっている皆さん。 本当にありがとうございます。

